1/72 で作る

2023年1月 Nieuport 17

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20年ぶりの第一次大戦機(リハビリその2)

     昨年末、20年ぶりの第一次大戦機第一弾として、オーストリア版アルバトロスを組み立てたが、今回も 20年前途中で断念した、フランスのニューポール17を完成させてみる。  箱から出てきた未完のニューポール17が右写真。  キットはEsci製で、追加のスピナーや座席周り は他キットから流用、外翼支柱は自作で作り直してあ る。それ以外はキットのままである。  作業は主要パーツを組み立て、塗装とマーキングを 終え、クリアーコートした所で止まっている。まだ、 汚し塗装はしていないが、ここまでの作業は順調そう に見えるし、この先困難な作業が待ち受けているよう にも見えない・・・何故、こんなところで挫折したの か思い出せない。 垂直尾翼を見て思い出した。デカール貼りに失敗している。   挫折の理由  何度も点検したはずなのに、垂直尾翼右面のデカールが折れ曲がって貼られていて、それに気づかずクリ アーを吹きつけてしまい、水で戻すと言う「一発勝負」のチャレンジも不可能になってしまったからだ。  しかもこのデカールは、購入当時の私にとって超高額、かつフランス製で入手困難、だからこそ何度も点 検したはずなのにーっ・・・「あ゛ーーーー!!」と心の叫びを上げ、痛すぎる気持ちを記憶から消すべく 箱詰めにし、2002年頃「お蔵入」となったのであった。  だが20年も経過すると落ち着いた判断も容易に出来る。「白と黒で加筆して、何となく”N”と読めるよ うにすれば良いではないか。」と、今では簡単に妥協できる。 2023年、作業再開  主なパーツは塗装、マーキングを終えているから、各翼及び支柱を取り付け、車輪を取り付ければ完成と なる。複葉機であるから、勿論張り線も必要である。2023年1月の作業は、その準備からだ。  ウィンドソック本等の資料の写真から、実機の張り 線を確認する。  調べた結果、主翼関連は三ヶ所をマイクロヒートン とし、0.5mmの穴を掘り、残りはいずれも支柱付 け根付近に0.3mmの貫通穴を空けることにした。  以上、支柱部品取り付け位置は、それぞれはっきり 視認できるのだが、昇降舵、方向舵を動かす索が胴体 のどの位置から出ているのか、キット胴体部品には目 印になるものは皆無であった。  ウィンドソック本には、1/48及び1/72の図面が付属しており、索の引き出し位置を図面からコン パスを使って移し取る。    胴体の張り線穴はすべて0.3mmの貫通穴だ。張り線の準備が全て終われば、未塗装の小部品の塗装だ。 キットの翼支柱部品は寒気がするほどメタボで、当然自作した。これとプロペラは木目を描いてニス仕上げ とする(塗装手順は2020年12月の製作記事に詳細有り)。キット部品のヴィッカース機関銃は、冷却筒 の伊達巻のような、簾状の凹凸も再現されている。まずまずの出来だがちょっと物足らないので手を加えた。    上翼下面中央に1箇所、下翼上面・外翼支柱付近、左右で計2箇所に、ヒートンを接着。    小物部品も塗装し終わり、いよいよ最終組み立てが近づいたが、その前に汚し塗装を行った。複葉機の場 合、完成後に「汚し」をやろうとしても、張り線が邪魔で困難な事この上ない。以前はハンブローのエナメ ル塗料を使っていたが、最近は絵画用の油絵具を使っている。希釈はペトロールより、テレピンの方が流れ が良いように感じる。    プロペラにスピナーを取り付け、翼支柱の両端と、中間に三ヶ所ある「割れ止め」と思われる「タガ」状 の金属部を鉄色に塗った。次にマッキーで黒く染めた、0.25号の釣り糸を接着する。接着と言うよりも 「植毛」の方がシックリくる感じの作業だった。    下翼と水平尾翼を胴体に接着。まず尾翼への張り線を済まし、胴体支柱は胴体側に接着し、外翼支柱は上 翼側に接着して、上翼の取り付け準備完了。         上翼の取り付けは、まず胴体側の支柱三点を接着、次に外翼支柱を片方ずつ接着。その後、主翼の張り線 を行う。その後よく見ると、翼部品が薄すぎてあるという、Esciのキットの欠点が出たようだ。特に下 翼はペナペナで、わずかに歪んでしまっていた。  張り線のはみ出しを切り取り、貫通穴を周囲と同色でレタッチ、車輪を取り付け完成。         垂直尾翼右面の「N」は何とか読める程度。製造番号は修正しなかった。               完成機のページへ   親ページに戻る          

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 なぜ'1/72'なのかと言う

と、「妥協が容易」だから

だと思う。勿論作品保管の

スペースの問題も大きいが、

それ以前に、1/48や1/32

だと細部にこだわりすぎて

結局完成に辿り着けない事

になる。だが、1/72 だと

資料不足などで、細部の再

現が困難であっても、ごま

かすことは容易になる。完

璧を求めず「妥協」するこ

とは完成への近道だと思う。