2020年4月「再会や別れ」
3月末に退職。封印していたオーディオ趣味を再開。悲しいことに最初しなければ
ならなかったのが「お別れ」だった。購入時にどんなに輝いていても時の流れで価値
を失っていくものはたくさんある。カセットテープデッキ TEAC C-2 と C-3 の、
購入時の輝きは、大変なもので、高額の出費も納得のいくものだった。だが、2020年
現在、それはまったくの無価値になってしまった。テープデッキの機構にはプーリー
やそれらに動きを伝えるゴムベルトが必須だが、合成樹脂のパーツは40年という歳
月により劣化しているはずだ。もうメーカーも修理はしてくれないだろう。それより
致命的なのが、あれだけ家電店舗にあふれていたカセットテープが姿を消したことだ
ろう。こうなると「一生もの」と思い購入したのに今では「粗大ゴミ」だ。
同様に廃棄したのが SONY の DAT や PIONEER のCDプレーヤーなどなど・・・
虚しいことこの上ない・・・。「諸行無情」とはこう言う事なのかもしれない。
以上の機器は廃棄即決だが、残りはチェックの必要がある。
だがチェックに必要なスピーカーが無事ではなかった。まずはサブシステムの、
Fostex UP220 エッジの破損状況。
エッジの材質は発泡ウレタンのような樹脂で、経年劣化でポロポロだった。
メインのスピーカーも、低音用 Fostex FW305 も同様な有様だった。まずはサブ
システムの UP220 で「修理」を試行。模型作りなどで使うカッターマットに瞬間接
着剤をたらすと、頑固に貼り付いてしまい、水滴型のデコボコができてしまう。マッ
トの材質がポリプロピレンなら瞬接は効かない。だが「修理」に利用するならむしろ
好都合だ。熱帯魚の水槽に空気を送るなどの用途で、細身のビニールホースを思い出
し、ホームセンターで物色すると外形8mmの物があったのでこれを1m購入。半分
に裂いた。カッターマットは裏面がツルツルなので、瞬接でビニールホースを接着。
剥離剤として、フッ素系の潤滑剤を噴霧する。
劣化した樹脂製エッジは指先だけで、ほぼ完全に剥離できた。新しいエッジの材料
をどうするか・・・だが、FE103Σ は紙製、DC300 は布製でまったく無傷で問題な
いので、紙で再生することにした。新品の頃のオリジナル樹脂製エッジは、とても軽
く柔らかで、発泡ウレタンのような感触だった。これを置き換える紙は何が良いかい
ろいろ考えたが、薄く軽く繊維が長めの和紙を選択。細切りにしてビニールホースの
上に乗せ、木工ボンドを水で3~4倍にめたものをたっぷり含ませた筆で押えると、
表面張力により、それだけで勝手に密着してくれた。乾いたら薄めた木工ボンドをも
う一度重ね塗りした後、アクリル絵の具のマットメジュームを仕上げに塗った。
剥離は手だけでは無理で、破いてしまいそうだったから、カッターの刃を800番
のヤスリで「切れない」状態にして、紙とカッターマットの間に丁寧に挿入、横に滑
らせながら剥がした。フッ素系の潤滑剤の噴霧をかなり多めにしたので、もう片側の
エッジは簡単に剥がせた。ただし、簡単とは言っても、手だけで剥がせるわけではな
く、やはり「切れないカッター」は必要だと思う。オリジナル樹脂製エッジの貼り付
け面はコーン紙裏側だが、コーン紙を傷つけずに、樹脂製エッジを完全に取り去るの
は不可能で、劣化したコーン紙が残った裏面に新しいエッジを接着しても、すぐ剥が
れてしまうだろうから、表面に接着することにした。
4月いっぱい試行錯誤しながら、同様の方法で、メインスピーカーも修理完了。
これでその他の機器の最終チェックとして「視聴」ができる環境に近づいた。
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