Primoplan 58mm F1.9 APR.2022

Primoplan 58mm F1.9

 Meyer Primoplan 58mm F1.9 シリアル 1353398     「曲者」で有名なプリモプランで撮影(すべて絞り開放で撮影) 接写ヘリコイドで3〜40cmまで寄って撮る 接写では派手にボケるので、かえって癖に気づかない。 7〜8m以上距離をとっても目立たない 人物撮影でよく使う3〜4mの距離感だと、 花は鮮明に写っているが、背景が変な雰囲気。 俗に言う「グルグルボケ」のような同心円状の「ざわめき」が画面中央部にまで及ぶ。上の写真では、画面 中央、石燈篭の右奥から妖怪でも出てきそうな不気味な写りだと思う。  もう一つ気になるのが、何となくファインダーを覗いていると、広角レンズっぽく思えること。最初なぜ なのか分からなかったが、周辺光量がかなり低下することに気づいた。標準レンズとしてはこれ以外で見た ことはない。本来、中望遠に使うべき、エルノスター型のレンズ構成を採用したため、無理をして画角を稼 いだ結果の周辺光量不足なのかもしれない。噂通りの「曲者」か・・・。    だがこうして、このレンズ単独で写した写真をならべいっても、どこがどう「曲者」なのか、癖がどの程 度のものなのかはっきりしないかもしれない。「素直なレンズ」と同条件で撮影し、比較することにする。

S.M.C.Takumar 55mm F1.8

 Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8 シリアル 6281253     「素直なレンズ」には S.M.C.Takumar 55mm F1.8 を選択。理由は、焦点距離、F値がほぼ同等の国 産レンズだから。  ただし、この個体は普通ではない。分解清掃のついでに、6枚のうち一番フィルム側の六番目のレンズを、 同じレンズ構成のKレンズのものと交換している。タクマー55mm後期型では、この一枚がトリウムレンズで 黄変する。逆にKレンズでは、その前方の二枚貼り合わせ部分の接着剤の劣化で白内障を起こす。  私はタクマーを生かすことにして、まっ黄色に変色した六番目のレンズを、透明な物と交換、二個一修理 をしたという訳だ。トリュウムレンズは放射線を出すから線量計を近づければそれがわかる。 知りたいのは「放射線が出ているか?」であるから密着させて測定。                                      「安全」のLEDが点灯 手持ちのトリュウムは Super-Takumar 55mm F2 のみ。関税対策でF値を落とした輸出向けレンズ。                                      「注意」のLEDが点灯  本来両者とも「注意」のLEDが点灯しなければならないはずだが、S.M.C.Takumar 55mm F1.8 の方は放射線が出ていないことが分かる。絞り開放での撮影では・・・ 赤・緑の紅葉の向こうに黄色の銀杏、そのさらに遠方に青い空。 近接撮影時の後ろボケも癖を感じない。

同じ条件で両者を比較

Meyer Primoplan 58mm F1.9 1m弱だと、背景の様子が何か変だ。 Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8 2〜3mで被写体を中央に置いて撮影 Meyer Primoplan 58mm F1.9 Meyer Primoplan 58mm F1.9            Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8   Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8  タクマーの方は、ピントを僅かに外したようで、中央部ではむしろプリモプランの方が良好な像が得られ た。だが、背景は不気味な感じにボケているし、周辺光量低下もはっきり分かる。 2〜3mで被写体を左上端に置いて撮影 Meyer Primoplan 58mm F1.9 Meyer Primoplan 58mm F1.9            Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8   Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8  画面周辺部の画質は圧倒的にタクマーが勝利。周辺部でも鮮明で、光量も十分だ。対してプリモプランで は、それらどちらも大きく不足しており、加えて蛇口の先端の曲がり方も直角に近く変形している。これは もしかすると、糸巻型の歪みが出ているかもしれない。水平・垂直線で構成される幾何学的な被写体で確認 してみる。(距離は4m強) Meyer Primoplan 58mm F1.9 Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8  周辺光量低下、不気味な後ボケとも同様に確認できるが、糸巻型の歪みは無さそうだ。 無限遠で撮影、右上端を拡大して比較 Meyer Primoplan 58mm F1.9 Meyer Primoplan 58mm F1.9            Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8   Asahi Opt. S.M.C.Takumar 55mm F1.8  前ボケには特に変わった所は見当たらないが、タクマーと比較すると、無限遠でも周辺部では光量、画質 とも大きく低下するようだ。人物を撮るのは難しいだろうと思う。 親ページに戻る          

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