2020年5月「安否確認」その1

                その1->その2へ->その3へ  4月は実に多くの機器、マニュアルや規格表のような書籍、カセットやDATなど の磁気媒体を廃棄した。時の流れが、かつて価値のあったものを無価値にしたり、劣 化により使用不能になったりする現実に直面し、意気消沈した。  今月はもっと良い思いをしたい。少し乱暴かと思ったが、サブシステムの3C33 パワーアンプに修理したスピーカーを繋ぎ、電源を入れてみる。6本の真空管に火が 灯った。見た目は異常もなく、音量ボリュームを絞っているから無音である。耳を近 づけると微かなノイズが聞こえる。「生きてる!」パソコンのヘッドホン端子とアン プの入力端子を繋ぎ、音楽CDを流す。アンプの音量ボリュームをあげると、修理し たスピーカーからは、パソコン内蔵スピーカーとは異次元の「音」がでた!  アンプも修理したスピーカーもちゃんと生きていた。不満と言えば、アンプについ ては音量ボリュームの操作で雑音が出ることくらい。所謂「ガリオーム」と言うヤツ で、最大最小の回転を、何十回か行えば応急修理完了。修理したスピーカーについて は、紙エッジからカサカサと雑音が出たら・・・などと心配したが、皆無だった。  これで勇気を貰った。いきなり電源を入れたのには、時間をかけてチェックをして いざ電源を入れたらダメでした・・・となったら2倍気落ちするから・・・というの が一つだったが、もう一つ理由があって、このアンプには合成樹脂製のパーツはほと んど使っていないから、経年劣化の心配が少ないからだ。材質は金属とガラス、ベー クライトがほとんどだ。唯一心配なのがケミコン類くらい。調子に乗ってメインシス テムも音出ししてみた。こちらは6台のパワーアンプがセットされていて、かつては マルチアンプの実験もしてみたが、現在はこれらのうち1台を選択してスピーカーを 鳴らすようにしている。  6台の中で一番安全そうなのは、VT-62シングルアンプ。経年劣化しそうなパ ーツは使っていない。  同様な手順でメインシステムのスピーカーも音出しに成功。メイン、サブ共、少な くても一台のメインアンプとスピーカーが健在なのを確認できた。心の余裕ができた ので、残りはもう少し慎重にチェックすることにした。  1000枚を越えるLPレコードのコレクションを無駄にしたくない。レコードプ レーヤー回りのチェックをする。 ------------------------------------------------------------------------------------------------- レコードプレーヤー1 ターンテーブル  MICRO       BL-91 ・・・・ベルト無し、使用不能 トーン・アーム  fidelity research FR-64S・・・・異状無し ------------------------------------------------------------------------------------------------- レコードプレーヤー2 ターンテーブル  LUXMAN      PD-441・・・・異状無し トーン・アーム  fidelity research FR-64fx・・・異状無し -------------------------------------------------------------------------------------------------  一台はベルトドライブのゴムベルトが経年劣化で脱落、当面使用不能だが、プレー ヤー2はすぐにでも使える。パワーアンプとスピーカーは使えることが分かっている。 プリアンプが無事であればレコードの音が聴ける。プリアンプは一体型が普通だが、 私の場合はフォノイコライザーアンプとトーンアンプの2つに分けている。理由は、 メインとサブのシステムは互いに向かい合っており、ハウリングの影響を考慮すると 左右のスピーカーの間にプレーヤーを設置できない。プレーヤーとイコライザーアン プ間は0.1~2mVの信号が流れるからケーブルは短くしたい。だがリスニングポ イントから手の届く位置に音量調節ツマミがあってほしい。2つに分ければジレンマ を回避できるからだ。 ------------------------------------------------------------------------------------------------- フォノイコライザーアンプ 回路構成概要 昇圧トランス LUX 6321S および 6322S 初段 6AQ8 SRPP (無帰還) CR 減衰型イコライザー素子 (カード式・交換可能) 2段 6AQ8 SRPP (無帰還) 3段 12AU7 SRPP (カソードフォロワー) チェック1 目視によるチェック ケミカルコンデンサー類など・・・異状無し チェック2 6CA4(B電源用整流管)以外を外して各部電圧を測定 1.直流点火12V電源 ・・・異状無し 2.B電源・・・異状無し 3.ヒーター、カソード間の耐圧対策70V・・・異状無し チェック3 すべての真空管を刺して各部電圧を測定・・・異状無し ------------------------------------------------------------------------------------------------- トーンアンプ (写真は6月の修理後のもの) 回路構成概要 各種入力セレクタ 音量ボリューム バランスボリューム 初段 6AQ8 SRPP (無帰還) CR 減衰型トーンコントロール (カード式・交換可能) 2段 6AQ8 SRPP (無帰還) 3段 6FQ7 SRPP (直結カソードフォロワー) チェック1 目視によるチェック ケミカルコンデンサー類など・・・異状無し チェック2 6CA4(B電源用整流管)・・・電源入らず(使用不能) ※.電源トランスの一次巻線(AC100V側)の導通無し。内部溶断ヒューズ切れと思われる。 -------------------------------------------------------------------------------------------------  結果はイコライザーアンプは正常、トーンアンプは使用不能。電源トランス交換が 必要だとわかった。トーンアンプは必須ではなく「あると便利」な存在なので、修理 は後回しとして、イコライザーアンプとパワーアンプを直接繋いでチェックを続行す ることにした。 親ページに戻る          その1->その2へ->その3へ
Last Modified
2020.09/10
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