「星が写るレンズ」JUL.2020 その3
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MC-VOLNA 9(M42)50mm/2.8
立派な「お星様レンズ」です。シリアル 851071
写真の通り、1/2倍まで寄れるから、ニッコールやタクマーと同じ、立派なマク
ロレンズの条件を備えている。M42のインダスター61とマークも字体も同じだか
ら、生産工場も同じと思われるが、ローレット加工の仕上がり具合はウ゛ォルナの方
に軍配が上がる。
MC-VOLNA 9(M42)の写り
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星の出方
星が出るのは5.6~8に絞ったときなので、6.3付近にセットする。シャッターかISOで適正露出。
一緒に歩いている知人を撮って、つまづき、よろけてシャッターを押してしまったら写っていた。
まったく偶然の産物。これと似たような写真を、いくつかのサイトで紹介していたが、意図的に、このような
写真を撮るのには抵抗を感じる。VOLNAは立派なマクロレンズだ。星だし専用の使い方に意味があるだろ
うか。機械が相手ではあるが、何かレンズに対して失礼な気がする。
もし、どうしても画面に星型のフォルムが欲しいという作画意図があるなら、星型に刈り込まれた植木を探
すとか、星型が出るフィルターを自作するとか、もっと積極的なアプローチがあると思うのだが・・・。
やっぱりマクロレンズらしく接写で、星のアクセントをつけるような撮り方が好みだ。
上の写真をクリックすると別窓で拡大できる。主役は右下の、今滴り落ちようとしている水滴だが、画面端ま
で鮮明に写っている。こんなマクロレンズとしての実力も示しつつ、背景に星がちりばめられているからこそ
VOLNAを使う意味があるのではないかと思う。
絞り6.3のまま普通の撮影条件ならこんな感じ。
やはり画面四隅もちゃんと写っている。右下の石碑、中央の三毛猫。しかも距離が大きく異なっている。
ところで星ボケレンズのページを書くにあたって、
類似テーマのサイトをいくつか閲覧したところ、同じ
ロシアのHELIOS-40を仲間に入れている記事
を見て、奇異な感じがした。このレンズは85mm/1.5
という大口径中望遠レンズだ。右の写真、小さい方が
INDUSTAR-61、でかい方が HELIOS-40 星ボケと
は別次元の特徴的レンズだ。
それより「あれって星でるような絞りか?」と思い、
念のために絞ってみると確かに5.6付近で絞りの形
がギザギザになる。だが羽は10枚もある。「こんな
んじゃ星にならないだろう。」と思い、試し撮りで星
出しに挑戦してみた。
もしかすると羽の枚数が少ない個体が存在し、本当
に星が出るものがあるのかもしれない。だが私が所有
する一本では星ではなく、コロナウィルスが出た。
これでは星ボケではなく、ウィルスボケだと思うがいかがだろうか。もし、このボケ方をあえて星ボケと言
うのなら、ベローズタクマー100mmなど、星ボケに数えるべきレンズは、もっと沢山あるはずだと思う。
もし店頭で、羽が6枚で星が出るのと、羽が10枚でウィルスが出るのが同じ値段で並んでいたらどちらを
選ぶだろうか。「絞り羽の枚数は写りと関係ない。」とは言うものの、ポートレートなどを撮ることを念頭に
置いて考えると、背景がうるさく、星型にボケてほしくない。だから私なら10枚の方を買うと思う。
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自分が暮らしている周辺だけでも、カメラを持って散歩するのは楽しいものだと思
う。三ヶ月ものコロナ自粛だったが、楽しみのおかげで苦にならなかった。
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